税金ほか

他社が立て替えた場合のインボイス

 

 

インボイスの記載事項

インボイスは誰でも発行できるわけではなく、事前に税務署に届出をし登録された事業者だけが発行することができます。
インボイスには、原則、次の事項が記載されていなければなりません。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号(T+13桁の番号)
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

立替え取引のイメージ

通常、一般的な取引の場合、請求する人、支払う人の2社間での取引となりますが、立替え払いの取引の場合、登場人物が増えることになります。

一般的な立替取引をイメージするために、こちらの図を確認してみたいと思います。

出典:国税庁|インボイス制度に関するQ&A 問94

 

実際の取引(課税資産の譲渡)はA社⇔C社間で行われるという事例です。
こちらの事例では、A社がC社に支払うものをB社が立替えて支払い、その後、A社がB社に支払って立替えてもらった分を精算する流れです。
業種等によってはよくある取引かもしれませんね。

ただ、インボイス制度において留意すべきポイントがあります。

あくまで、取引はA社とC社間で行われているものなので、A社が仕入税額控除を行うためには、B社の取引情報ではなく、C社のものが必要となります(A社・C社はインボイス発行事業者という前提。B社は発行事業者でなくても問題なしです)。

請求書のコピー等をB社から受領したとしても、宛名が立替払いしたB社になっている場合は、そのままではインボイスの記載事項を満たしていません。
上記記載事項「6」の部分ですね。
なので、一定の対応が必要になります。

 

他社が立替払いした場合のインボイス対応

立て替え払いであっても、一定の書類の交付を受けることで、課税仕入れに対する控除が可能です。

具体的には、B社からインボイスのコピーとA社分の立替え払いであることがわかる立替金精算書等の交付を受けた場合には、その書類の保存をもって、C社からの課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすことになります。

上記が原則ですが、立て替え払いを行ったインボイスが大量になるなど、コピーを交付することが困難になるなどの事情があるときは、B社がC社から交付を受けたインボイスを保存し、A社はB社から立替金精算書の交付を受け、保存するのみでよいことになっています。
この場合、B社はA社が仕入税額控除を受けるために必要な事項を、立替金精算書に記載しなければなりません。

該当の取引がある場合はご留意いただければと思います。

 

 

 

 


■編集後記
昨日は午後から面談1件。
長崎もここ数日だいぶ冷え込んできました。
ちょっと前と比べて、外出時の装備が様変わりしております。
鍋がおいしい季節です。
鍋ずきです。

 

税金ほか

役員が会社に貸し付けを行った場合の利息の取り扱い

  会社が役員や従業員に金銭を貸し付ける場合には、一定以上の利息をとらないといけないことになっています。 逆に、役員が会社に貸し付けた場合はどうかというと、無利息であっても問題となることはほぼありません(ものすごく高額の場合、役員側の認定課税となることはあったようですが)。   もちろん、役員が利息をもらってもいいのですが、いくつか注意すべき点があります。 まず、役員が受け取る利息は、役員個人の雑所得(事業から生じたと認められる場合は事業所得)となります。 利息なので、利子所得?と考え ...

ReadMore

税金ほか

事業所得と一時所得の損益通算

    一時所得とは 現行の所得税制では、所得の区分を10種類に分類しています。 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得、譲渡所得までの8種類の所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務や役務の対価としての性質を有しないもの、と定義されています。 ここで言う「一時の所得」というのは、一般的に言う「一時的な」というものではありません。 一般的に「一時的」というと、暫定的とか、永久的ではないというような意味合いで使 ...

ReadMore

税金ほか

贈与で生命保険に加入するメリットなど

  相続時に遺族が受け取る生命保険金は、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となる場合がありますが、生命保険金については非課税枠が適用されます。 非課税枠は次の通り。 500万円×法定相続人の数 ちなみに、保険金を受け取り時の課税関係は、保険料の負担が誰か、誰が保険金を受け取ったかで異なります。 なので、相続税対策で活用する場合、本人が保険料を負担、受取人を相続人とします。   生命保険を活用した贈与では、次のような契約形態もあります。 例えば、 被保険者:親 契約者(保険料負担 ...

ReadMore

税金ほか

不動産所得で赤字が出た場合の損益通算の特例

  不動産所得は、不動産に係る収入から必要経費を差し引いて計算します。   差し引いた結果が、損失(赤字)の場合には、他の所得(一定のもの)金額から差し引くことができます(損益通算といいます)。   ただし、次に掲げる損失については、損益通算の対象となりません。 別荘等のように主として趣味、娯楽、保養等の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの 土地等を取得するために要した借入金の利子に相当する部分の金額   経験的には2のケースのほうに触れることが多い印象ですね。 ...

ReadMore

税金ほか

名義預金とは?指摘されないためのポイントなど

  親が子の名義で預金したり、おじいちゃんおばあちゃんが孫のために預金を積み立てたりすることもあります。 実際にお金を預金している人と口座の名義人が違うものを名義預金といいます。   実際の所有者が亡くなった際には、この名義預金も相続財産として相続税の課税対象となります。 口座の名義だけでは判断されないということですね。   親が子ども名義の預金口座を作りその管理等を親が行っているという場合、この預金は名義預金とみなされる可能性があります。 名義預金と指摘されないためのポイン ...

ReadMore

税理士 税金ほか

地方税のダイレクト納付の操作方法変更について

  地方税のダイレクト納付でPCdeskを利用している場合、2025年3月24日以降、操作方法等に変更があります。   PCdeskのバージョンアップに伴い、以下について変更となります。 期日指定ダイレクト納付のキャンセルが可能に ダイレクト納付期日指定後に、別方法での納付が確認できた場合、指定した期日の前日までであれば、PCdesk上で期日指定キャンセルが可能となります。 また、別方法での納付が確認できた際、期日指定キャンセルの案内メールが送信されます。  ダイレクト納付の ...

ReadMore

会計・経理 税金ほか

少額減価償却資産の特例について

  「減価」も「償却」も、業界以外のかたにとっては、どちらも馴染みがない言葉だと思います。 「減価償却」とは、時間の経過によってその価値が減っていく、という考え方に基づき計算されるそのモノの価値の目減り分です。   長く使えるものは、一度に経費にするのではなく、その期間に応じて、分割して経費にしていくことになります(費用配分といいます)。 取得した資産が減価償却資産に該当したとしても、その資産の取得価額が少額だったり、税法で定める一定の要件を満たすものである場合に、その法定耐用年数より ...

ReadMore

税金ほか

配偶者への居住用不動産等の贈与について

  婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金の贈与を受けた場合には、基礎控除のほか2,000万円控除できる制度があります。 上記のほか、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその者の居住の用に供し、その後も引き続き居住の用に供する見込みであるなど一定の要件、提出書類があります。 贈与税が発生しなくても申告は必要です。   ここで言う婚姻期間の定義は、婚姻届出のあった日から贈与があった日までの期間です。 ちなみに、同じ配偶者からの贈与については一生 ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

-税金ほか