税金ほか

消費税の任意の中間申告制度について

 

 

消費税の中間申告

消費税の課税期間は原則として1年となっていますが、その間での申告制度が設けられています。

個人の場合は前年、法人の場合には前事業年度の消費税の年税額が48万円を超えると中間申告書を提出する必要があります(課税期間の特例制度の適用を受けている場合は中間申告の必要はありません)。
この48万円は国税のみで、地方消費税額は含みません。

中間申告で納付する金額は、前期の確定消費税額の金額によって決まりますが、同時に納付の回数も決まります。

出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6609.htm)

 

上記に代えて、中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付する方法もする方法もあります。
ただし、提出期限までに仮決算に基づく中間申告書の提出をしない場合には、直前の課税期間の確定消費税額に基づいた中間申告の提出があったものとみなされるので、期限後に仮決算による中間申告書の提出はできません。
また、計算した結果がマイナスとなっても還付を受けることもできません。

 

任意の中間申告

前期の確定消費税額が48万円以下の場合には、中間申告義務がないので、中間申告及び納付を行う必要はありません。

ただ、資金繰り等の観点から、1度に納付するのではなく、納付額を分散したいといった場合には、届出をすることで自主的に中間申告・納付を行うことができます。

「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を任意の中間申告を提出しようとする中間申告対象期間の末日までに提出することで制度の適用を受けることができます。

また、この適用をとりやめたい場合には、「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」を提出する必要があります。

 

留意点

任意の中間申告制度を適用した場合において、中間申告書を提出したにもかかわらず、期限までに納付しない場合にはペナルティ(延滞税)が課される場合があるので注意が必要です。

また、中間申告書を提出期限までに提出しなかった場合には、「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」の提出があったとみなされ、中間納付を行うことができないこととなります(この場合はペナルティはありません、義務でなくなるので)。

この制度を活用したほうがいいかは、事業所の状況等にもよるでしょうね。
納付する税額が減るわけではないですし、納付手続きという事務負担は増えます。
加えて、資金支出が先行するのがデメリットに感じる場合もあるでしょう。
ただ、1度に納付するのが負担に感じるのであれば、分散することで負担感は幾分やわらぐかもしれませんし、納税のスケジュールがしやすいなどあるかもしれません。

中間申告・納付の義務がない方で、制度にメリットを感じる方は活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 


【編集後記】
昨日は妻とランチ。
気になっていた日替わり定食。
大変おいしくいただきました。
次は別の曜日にも行ってみようかと。

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

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