医療機関等

医療法人の役員について

 

医療法人の役員について、ご質問をいただくこともあります。
どういう人がなれるなれないとか。

本日は医療法人の役員について、簡単に書いてみます。

 

 

 

医療法人の役員

まず、医療法人は理事3人以上と監事1人以上を置かなければならないことになっています。
理事とは一般法人でいうところの取締役、監事は監査役と思っていただければ。

以前は特例で理事2名も認められていましたが、長崎県の場合、認可申請時には必ず3名を求められます。

議事運営や法人運営の適切化の観点から3名以上が望ましいということでしょう。
2名だと多数決取れませんからね(それだけが理由ではないですが。。)。

定数があるので、欠員が出て定数を割る場合は当然補充が必要となります。

 

役員に関する諸手続き

役員の任期は2年を超えることができませんが、再任することは制限されていません。

なので、2年毎に改選手続きを行いますが、医療法人の場合、役員に関する事項で登記が必要となるのは理事長のみとなっています。

何もなくても2年に1度、重任の登記をすることになります。
もちろん、それ以外でも、例えば理事長の住所が変わったなどあれば、別途登記が必要です。

登記手続きが必要なのは理事長だけですが、理事の変更・追加等がある場合には、県へ「役員変更届」の提出が必要です。

変更事由によって添付する書類も異なります。

  • 理事の変更(交代)、増員の場合
    議事録の写し(原本証明が必要)、役員の履歴書、役員の就任承諾書、役員の印鑑証明書
  • 理事の退任(死亡の場合)の場合
    議事録の写し(原本証明が必要)、死亡を証する公的書類(死亡診断書など)
  • 理事の改姓(婚姻等)の場合
    改姓を証する公的書類(戸籍謄本など)

 

役員になれない人

理事になれない人、望ましくないとされている人

医療法に理事の欠格事由が定められています。

  1. 法人
  2. 成年被後見人又は被保佐人
  3. 医療法等に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  4. 前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

なお、医療法人の非営利性を確保する観点から、医療法人と取引関係のあるメディカルサービス法人(営利法人)の役員は適当でないとされています。

公務員も法令により兼業が禁止されているので就任することはできません。

また、長崎県の場合、未成年者も望ましくないとされています。
それぞれ例外として取り扱うことができる場合もあるので、判断に迷う場合は医療政策課に相談するのがよいでしょうね。

監事になれない人、望ましくないとされている人

欠格事由は理事と同様です。

監事は自然人であることが必須となっており、次の者は監事になることができません。

  • 未成年者
  • 医療法人の理事又は職員との兼務
  • 公務員(理事と同様)

長崎県においては、理事長と一親等の血族、配偶者及び兄弟姉妹は望ましくないとされています。
理事と同様、医療法人と経営上利害関係のあるメディカルサービス法人等の役員も適当ではありません。

また、役員個人の顧問の税理士や理事長と従属的な関係がある人も望ましくありません。

理事・監事ですから、誰でもいいというわけにはいかないのに、色々と制限もあるので選任に苦慮します。

特に監事については、欠員があった場合には速やかに新監事を選任しなければなりません。

届け出についても、理事については決算届と併せて提出も認められていますが、監事については変更後できるだけ速やかに提出することになっています。

 

ちなみに、未成年の年齢が変更になっておりますので、年齢制限は引き下げられる形になっていますね。

都道府県によっては、取り扱いが異なるかもしれませんが、長崎県の場合は、現行の「未成年」で問題ないようです。法律が変更されているので、当然といえば当然ですね。

 


■編集後記
昨日はとある手続きのため銀行など。
午後からは歯科医院へ。
いくつか早くやらないとなと思っていた手続きを進めることができたので少しスッキリしました。

 

税金ほか

103万円から160万円へ

  扶養の範囲について、所得税に関すること社会保険に関すること、その両方について、ご質問いただく機会はこれまでも多かったのですが、今般の税制改正でそこに関わる内容も含まれていたことから、話題にもなっていました。 とくに、いわゆる「103万円の壁」のライン引き上げについて注目していた方も多いと思います。   最終的に、103万円から160万円に変更になりますが、本日はその中身について少し確認してみたいと思います。   給与所得控除の見直し 給与所得控除の最低保障額が、これまで5 ...

ReadMore

税金ほか

行政書士に対する報酬で源泉徴収が必要となるケース

  源泉徴収義務のある事業者が、弁護士や税理士、社会保険労務士などのいわゆる士業(個人事務所の場合)に対して報酬・料金等を支払うときは、所得税を源泉徴収しなければなりません。   上記、報酬・料金等のうち、士業の業務に対して支払うものについて源泉徴収が必要となる士業については限定されており、その中に行政書士は列挙されていません。   なので、一般的には、行政書士の業務に対する報酬・料金等については源泉徴収は必要ありません。   ただし、例外として、依頼した業務が「建 ...

ReadMore

税金ほか

外国税額控除をし忘れた場合

  外国株式の配当金等は、一定の税率で外国の所得税が源泉徴収された後に、日本でも課税されることになります。 この日本と外国の二重課税を調整するための制度が設けられています。 それが外国税額控除です。   所得税の確定申告をした後、納めた税金が多すぎた、純損失の金額が少なかった、還付された税金が少なかったという場合には、「更正の請求」という手続きを行うことになります。 必ず認められるというわけではないですが、修正内容がはっきりしているものであれば、そのまま認められることがほとんどです。 ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

-医療機関等

S