実質2023年末まで延期となっていた電子取引データの保存義務化。
2024年1月からは、電子帳簿保存法に定められたルールに従い保存しなければなりません。
電子取引データの保存ルール
これまでは電子取引データであっても、紙で保存することができましたが、今回の義務化によって電子データの状態で保存することが必要となります。
その保存方法については、「真実性の確保」と「可視性の確保」のため一定のルールがあります。
- システム等の操作マニュアルや手順書が備え付けられている
- ディスプレイ、プリンタなどが用意され、いつでもすぐデータが確認できる
- 日付、取引金額、取引先で検索ができる
- 改ざん防止のための措置がとられている
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電子帳簿保存法 電子取引データ保存の対応について
2022年から電子取引データの保存が義務化されましたが、実質2023年末までは延期となっています。 電子取引データ そもそも電子取引データとは、取引の情報が記 ...
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改正に対応できているかチェック
1から4の項目について、順番に確認してみましょう。
1.すぐに電子取引データがプリントアウトできる状態か
ディスプレイやプリンタ等が揃っており、税務調査等で求められた際、すぐに電子取引データをプリントできる環境であればOKです。そうでなければ、後述の猶予措置を検討することになります。
1がOKであれば、2をチェックしましょう。
2.改ざん防止の対策はしているか
保存している電子取引データについて、記録が改ざんできないようにしておく必要があります。
例えば、
- タイムスタンプ
- 対応システムで訂正・削除履歴を残す
- 事務処理規定を整備・運用
いずれかの対応が必要となりますが、最も手軽に取り組めるのは事務処理規定の整備でしょうね。
これらの対応ができない場合には、猶予措置を検討します。
2がOKなら、3へ進みましょう。
3.検索機能その1(日付・金額・取引先で検索できるか)
対応例としては、
- 専用ソフトを使う
- 保存するファイル名に必要事項を記載する
- 保存ファイルと紐付けた索引ファイル(Excel)を作成する
この辺り。
次のいずれかの場合、検索機能まで求められませんので、税務調査等で求めがあったときにデータの提示・提出ができるように準備されていれば、ルールに従った保存ができていることになります。
検索機能が不要とされる対象者
- 基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下
- 電子取引データをプリントした紙を日付や取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしている
3がOKの方は4を確認。
4.検索機能その2(複雑な検索にも対応しているか)
次の両方に対応していれば、ルールに従った保存については万全ということになります。
- 日付又は金額について、範囲指定検索ができる
- 日付・金額・取引先のうち、2つ以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
これら複雑な検索に対応していない場合でも、3同様、税務調査等で求めがあったときにデータの提示・提出ができるように準備されていれば、ルールに従った保存ができていることになります。
猶予措置について
前述の1、2(検索機能不要の対象でない方の場合3も)までの対応ができていない場合には、猶予措置を検討することになります。
2024年1月から始まる新しい猶予措置の内容は、
- 相当の理由があると認められる場合で
- 税務調査等のときに、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ対応できる場合について
改ざん防止対策や検索機能などの対応はできてなくてもOKよ、というものです(事前の手続き・申請等はありません)。
とりあえず、電子取引データを単に保存すればいいということですね。
相当の理由とは例えば、
システムや社内ワークフロー等の整備が間に合わない
環境は整っているが、資金繰り・人手が足りないなどの理由でルールに従った保存ができない
といったケースです。
白色・青色、法人・個人問わず、すべての事業者が対応しないといけない内容です。
対応が間に合わない場合でも、電子取引データの保存は必須となりますので、現状を把握しながらご対応いただければと思います。
【編集後記】
昨日はとある取り組みの2回目。
お世話になりました。
午後からは美容室へ。
年内の予約はいっぱいのようでしたね。
年末年始だからかもしれませんが、通常月も早めに予約するようにしたいと思います。